全国的なハイボール人気でウイスキーへの関心が高まっていることを背景に、「ニッカウヰスキー仙台工場(宮城峡蒸溜所)」(仙台市青葉区ニッカ、TEL 022-395-2865)の工場見学が人気を集めている。
同施設は1969(昭和44)年、「ニッカウヰスキー」創業者の竹鶴政孝氏によって北海道・余市蒸溜所に続く国内第2の蒸溜所として建設。広瀬川と新川川(にっかわがわ)との合流点で水に恵まれていることなど、ウイスキー作りに適した条件を満たしていることから同所が選ばれたが、川の名が「新川川」であることは偶然だった。
敷地面積は20万平方メートル。スチーム式の単式蒸溜器によるモルトウイスキーと、カフェ式連続蒸溜機によるグレーンウイスキーを製造する。
工場見学は開始から今年で30年目。年間利用者数は約17万人。ピートを燃やして麦芽を乾燥させる「キルン塔」、糖化釜で作られた麦汁を醗酵させる「仕込み棟」、醗酵液を加熱しアルコールを取り出す「蒸溜棟」、5年~10数年にわたりウイスキーを熟成させる「貯蔵庫」の4カ所を専門のガイドが案内する。所用時間は約30分。見学の最後にはゲストホール内でウイスキーを試飲できる。
以前は観光客中心だったが、近年は若いカップルや年配の夫婦、女性グループやファミリーの利用が増え、今年に入ってからの利用者数は昨年の同時期に比べ約1割増に。アサヒビール(東京都墨田区)の同施設広報担当者は「ウイスキーはハードリカーということもあり、なかなか手を出しにくいお酒というイメージだったが、近年のハイボール人気をきっかけに身近なお酒として認知されてきたのでは」と話す。
国産ウイスキーの昨年度出荷量は前年比約111%で、11年ぶりの大幅増となった。今年も現時点で前年比121%の出荷量で、「家庭で手軽に楽しめる商品が特に好調で、市場の拡大を感じている」という。担当者は「ハイボールを入り口に、ウイスキーを楽しむ人がさらに増えてくれれば」と期待を寄せる。
工場見学は無料。受け付け時間は9時~11時30分、12時30分~15時30分。