印刷物のネット通販を手掛けるウエーブ(滋賀県守山市)が仙台事業所(仙台市泉区小角館前)の稼働を始めた。
滋賀県を拠点に営業を行っていた同社。数年前から三重県や東海地方に新工場設立を検討していたが、昨年の東日本大震災を受けて計画を中断。震災後は「復興支援のためにできることはないか」と、100部ごとに100円を義援金に充てる「チャリティー名刺」を販売し、日本赤十字社に寄付。仙台でのボランティア活動にも参加した。
一連の活動を通し、「さらなる復興支援のためには現地での雇用が必要」と考え、見合わせていた新工場を仙台に設立することを決めた。「現地で正規雇用者を採用することで、少しでも被災地の復興にお手伝いできればと思った」と同事業所の藤田宏幸所長。「仙台は首都圏へのアクセスも良く、サービスのスピード化にもつながるなど、企業活動の観点からも大変メリットがある」とも。
投資額は約6億円。工場は鉄骨コンクリート2階建て、延べ床面積2118平方メートル。7月に事業所を開設し、4カ月の準備期間を経て11月5日に稼働を開始。滋賀の本社工場と同じく、オフセット印刷とオンデマンド印刷に対応。今後は首都圏へのアクセスの良さを強みとした商品の展開も予定しているという。
仙台事業所のスタッフは約30人。所長と工場長を除き、全て現地で採用した。今月1日からは年中無休(年始年末を除く)での操業を開始。来期中には24時間体制に切り替え、2014年までに150人程度の採用も予定している。
売上目標は、初年度=約2億円、2年目=6億円、3年目=10億円。藤田さんは「宮城県内で大型の製造関係の工場が閉鎖や休止へと追い込まれる中、 微力ながらが弊社の事業活動を通じて復興支援へのお力になれれば」と話す。