東北大学総合学術博物館・理学部自然史標本館(仙台市青葉区荒巻青葉、TEL 022-795-6767)展示室で現在、企画展「どくとるマンボウ昆虫展」が開催されている。
同大医学部出身の作家・北杜夫さんが1961(昭和36)年に発表したエッセー「どくとるマンボウ昆虫記」をテーマにした同展。日本昆虫協会理事の新部公亮さんが企画立案したもので、2008年から全国を巡回。仙台での開催は2度目で、昨年10月に他界した北さんへの追悼の意を込めた。
メーンの展示は、同書に登場する昆虫185種類のうち183種類の実物標本を文章とともに展示する「どくとるマンボウ昆虫記の世界」。同書全20章の内容に沿って、チョウ・トンボ・バッタ・ノミなどの昆虫標本を配置する。「本をめくるようにゆっくりと、北杜夫氏の昆虫に対する洞察や思い、世界観を、実物標本を見ながら体感してもらえれば」と同展担当者。
「どくとるマンボウ青春記」で描かれた仙台の様子を当時の写真やパネルで紹介する「北杜夫が学んだ東北大学と仙台」、北さんが自ら採集した昆虫の標本や使用していた採集用具などを展示する「ムシ屋北杜夫の昆虫採集」なども。「著書に登場する実物の標本も含まれており、文学的に大変貴重な資料。この機会にぜひご覧いただければ」
開館時間は10時~16時。入場料は、大人=150円、小・中学生=80円。月曜休館(祝日の場合は翌日)。6月17日まで。同2日には、北さんの長女でエッセイストの斎藤由香さんによる講演会「どくとるマンボウ家の素顔」を開く。