仙台経済新聞

故郷を愛する若者が、故郷での就職を諦めなくてよくなっている。東北の企業が、東北の課題を、同郷愛を持ってどんどん解決している。そんな未来を実現するため、300社以上のブランディング・マーケティング支援を行ってきた仙台出身の成田啓吾さんが今年2月、郷里で「青寫眞（あおじゃしん）」を立ち上げました。

故郷の企業を支援したいという想いから、宮城で起業

成田啓吾さんは1986（昭和61）年生まれ、仙台市出身。東北芸術工科大大学院デザイン工学専攻修了。院生時代には仙台を舞台にした恋愛映画のイベント「杜の都ラブストーリー映画祭」を企画、運営しました。「宮城・仙台が好きなので、当時は得意としている映像を使って地元が楽しくなればいいなと考えていました」と振り返ります。

大学院在学中、伊坂幸太郎さん原作で宮城が舞台の映画「ゴールデンスランバー」の助監督としてキャリアをスタート。県内のテレビ番組のディレクター、カメラマンを務め、大学院修了後、同じく伊坂さん原作の作品「ポテチ」、Jリーグ20周年記念特別ショートフィルム「旅するボール」といった東北関連作品や、仮面ライダー作品にも携わりました。

その後、企業のブランディング支援を行う東京都内の企業に就職。これも、「仙台・東北を盛り上げるために、ビジネスで具体的に役に立つスキルを身に付けよう」という思いからでした。

プロデューサー、クリエイティブディレクターとして、ナショナルクライアントを中心に300社以上のブランディング・マーケティング支援を経験しながら、「こうした支援を得られるのはある程度余裕がある企業で、地方にはそういう支援を受ける余裕すらない企業が多い。地方企業に合った形で支援サービスを届けたい」と、郷里での起業を決断します。

青寫眞の設立に当たっては「みやぎUIJターン起業支援補助金」を申請。宮城に移住し、社会事業を起業する人向けの県の補助制度で、「社会性」「事業性」「必要性」の観点から、地域課題に取り組む事業者として認められ、採択を受けました。

現在、青寫眞は仙台市青葉区のシェアオフィス・コワーキングスペース「enspace（エンスペース）」に拠点を置いています。「数あるシェアオフィスの中でも、社会課題解決に対して熱いモチベーションを持っている方が集まっている場所だと感じています。同じ思いを持つ人たちと協力し合って、仙台・東北の課題を解決していければ」と成田さん。

企業の経営戦略からコミュニケーション戦略まで一気通貫で支援

青寫眞では、企業の経営戦略・ブランド戦略に対して「ブランディング支援」を、マーケティング戦略に対して「マーケティングDX推進支援」を、コミュニケーション戦略に対して「クリエイティブ支援」「広告運用／SNS活用支援」を行い、企業の課題や悩みを解決します。例えば次のような悩み、ありませんか？

そんな悩みに対して、青寫眞は以下の4つの支援を行います。

企業への「伴走」を超え、企業の「代走」で実行フェーズまでサポート

東北においてもコンサルティングが伴走し、企業支援を行っている事例は多くありますが、人的・金銭的コストや知識の不足、社内調整などが壁となり、実行に至らないことが多いのも実情です。「そんな時に、どこまででも手伝います」と成田さん。「伴走」ではなく、「代走」の実行力が青寫眞の強みです。

外部のコンサルタントとしてではなく社内の一人として、例えば「部長が納得してないから説明してほしい」と言われれば説明に伺ったり、何かのシステムを導入することになれば最初の1カ月はその担当者として運用したりと、柔軟に対応できるのもアピールポイント。「自分の大事な家を改装するようなイメージで、企業支援を自分事として実行フェーズまで責任を持って行います」

「魅力的なビジネスで売り上げを上げている企業が増えることで、東北を愛する若者が、故郷を諦めなくてよくなっている。故郷が抱える多くの社会課題を、DXを実現した東北の企業が、同郷愛と熱意を持ってどんどん解決している。そんな未来のために、全力で歩んでいきたい」と成田さんは力を込めます。