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成田山仙台分院でひな人形展示 人形供養に寄せられた1000体、依頼者の手紙も

「人形供養」に寄せられたひな人形。供養後は少しずつ、年間300体ほどおたき上げを行う

「人形供養」に寄せられたひな人形。供養後は少しずつ、年間300体ほどおたき上げを行う

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 仙台市青葉区の大本山成田山仙台分院(仙台市青葉区荒巻字青葉、TEL 022-225-8640)2階大広間で現在、全国から「人形供養」に寄せられた1000体以上のひな人形を展示している。

ずらりと並ぶ1000体以上のひな人形

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 所有者が大切にしてきた人形を感謝の気持ちを込めて供養する「人形供養」を受け付けている同寺院。宮城・東北を中心に全国から年間を通して依頼が寄せられる。日本人形やフランス人形、ぬいぐるみや民芸品など種類はさまざまで、桃の節句前後には、ひな人形の供養依頼が多くなるという。

 供養に寄せられるひな人形は、引っ越しや結婚などの事情で手放すケースが多く、男びなと女びなを抜いた、三人官女、五人ばやし以下の随臣や従者人形だけ送る依頼者も多いという。東日本大震災以降は、震災後の片付け中に家の奥から出てきた古い人形や壊れた人形、仙台や福島を離れることになったため手放さざるを得なくなったものも多く寄せられた。

 「ここ1年の傾向として、そうした『被災びな』はほとんど見かけなくなった」と同寺院の住職・国分玲樹さん。一方で「終活や生前整理、遺品整理として人形の供養をしてあげたいという人が増えているように感じる。そこには、ひな人形に込められている祖父母から孫へ、親から子へ受け継がれてきた温かな思いを、そのままごみとして扱えないという気持ちがある」と話す。

 会場では、約50畳のスペースに1000体以上のひな人形を展示するほか、人形への感謝の気持ちや思い出などが記された依頼者からの手紙も紹介する。「手紙を読むと、人形への供養の気持ちだけではなく、人と人のつながりの中に人形があることが分かる。特に震災以降の手紙に多く見ることができた。これらを多くの方に知ってもらうことは、お人形さんにとっても、お申し込みいただいた方にとってもさらなる供養になるのではないかと感じ、手紙の展示を始めた」と国分さん。

 「お飾りして多くの方に見ていただくことが供養になると考えている。人形供養から垣間見える、親子の絆、家族のつながりを感じていただければ」と呼び掛ける。

 展示時間は10時~17時。火曜・水曜閉門。入場無料。展示は3月11日まで。2日には県内の保育園児約300人を招待し、感謝の気持ちを込めた「ひな祭り」を行う。

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