「この世界の片隅に」制作のマッパ、仙台に地方スタジオ開設へ 人材育成目的に

仙台市役所で行われた立地表明式の様子。中央左からマッパの大塚社長、奥山市長、仙台スタジオ(仮称)所長となる川越さん

仙台市役所で行われた立地表明式の様子。中央左からマッパの大塚社長、奥山市長、仙台スタジオ(仮称)所長となる川越さん

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 アニメーションの企画・制作を手掛ける「MAPPA(マッパ)」(東京都杉並区)が6月2日、仙台市内に「仙台スタジオ(仮称)」を開設すると発表した。開設時期は2018年4月を予定する。

マッパが制作した「この世界の片隅に」のカット

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 フィギュアスケートを題材にしたテレビアニメ「ユーリ!!! on ICE」や、第40回日本アカデミー賞・最優秀アニメーション作品賞を受賞した映画「この世界の片隅に」などの作品を手掛ける同社。今回、「東京以外の場所でアニメーションを作る環境を自社で作りたい」と、同社初となる地方スタジオを仙台に開設することを決めた。設置場所は現在検討中で、年内に決定し開設準備を進めるという。

 地方スタジオ開設の一番の理由に「人材育成」を挙げる同社。大塚学社長は「東京ではいろいろな会社がひしめき合っている中で、それ(人材育成)をやっていくことに難しさを感じていた」と話す。開設場所の検討に当たって、宮城県(塩竈市)が同社丸山正雄会長の出身地であり、社内にも宮城出身者がいたことから「スムーズにスタジオを開設するイメージができた」という。

 所長となる川越恒さんは仙台出身。「こうした業界を目指そうと思っても、なかなか地元でそうした仕事ができる環境がないというのは、自分も就職活動を通して実感したところだった。いつか戻ってきて同じ仕事ができたらと思っていたので、かなえられてよかった」と喜ぶ。

 大塚社長は「現在のアニメ業界は、フリーランスのアニメーターやクリエーターにかなり頼っている部分があるが、地方に環境を持つアニメ制作会社さんが、僕らの目標とするようなクオリティーのものを安定して作っている。やはり地方で社員としてクリエーターを育成して、継続して作っている結果だと思う」とも。

 まずはアニメーターを育成し、CGや撮影、演出などの人材も仙台で育て、将来的にはアニメーション制作の全工程を仙台で行うことを理想に掲げる。「せっかく地域に焦点を当てて事業を行っていくので、仙台を舞台にしたアニメも今後作っていきたい」と意気込む。

 初年度は15人、5年後に40人体制を予定する。

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