仙台うみの杜(もり)水族館(仙台市宮城野区中野4、TEL 022-355-2222)で3月26日、東松島沖で保護されたスナメリの一般公開が始まった。
スナメリは、中国東海岸・朝鮮半島、日本の沿岸域に生息する小型の鯨類でイルカの一種。成体の体長は150~200センチ、体重は40~70キロ。全身が明るい灰色で、額は丸く、くちばしはない。背びれはなく、代わりに小突起が散在した1本のキール(隆条)がある。水深50メートル以内の浅い海域を好み、通常は大きな群れをつくらず数頭で泳ぐ。日本沿岸には5つの地域個体群の存在が知られており、宮城沖は北限のグループ。魚類、頭足類、甲殻類を捕食する。
一般公開を始めたのは、体長117センチ・体重26キロ、推定1歳未満の雄のスナメリ。昨年10月20日、東松島沖の定置網で混獲され、衰弱していたことから、翌21日に石巻市小網倉漁港から仙台うみの杜水族館へ移動。移動後は館内治療プールで感染症予防のための抗生物質投与・体重測定・血液検査などを行い、経過を見ていた。
同館では「推定1歳未満の若齢個体であり、自然界での単独での生存の可能性は低い」と判断。水産資源保護法で「保護動物」に指定されていることから、水産庁の許可を得て、学術的研究目的として飼育を始めた。体調が回復したことから3月26日早朝に大水槽「いのちきらめく うみ」へ移動し、一般公開した。
「最初は水面でとどまっていたが、上下して動くようになった。想像以上に環境になじんでおり、餌も食べている」と同館担当者。「徐々に慣れて、水槽の中心まで泳ぐようになったら、かわいい顔を見ていただきたい」と話す。
県内でのスナメリの展示はマリンピア松島水族館以来20年ぶり。現在、東日本エリアで展示するのは同館のみとなる。