宮城県美術館(仙台市青葉区川内元支倉、TEL 022-221-2111)2階展示室で1月27日、特別展「求道の画家 岸田劉生と椿貞雄」が始まる。
東京・銀座生まれの画家・岸田劉生(1891~1929年)は白馬会洋画研究所で黒田清輝に油彩画を学んだ後、文芸誌「白樺」を通して後期印象派の影響を受け、1912(大正元)年に若い画家たちと共に「ヒユウザン会」(後のフュウザン会)を結成。さらに1915(大正4)年には「草土社」を結成し、その独特の写実表現で青年画家たちに影響を与えた。
山形県米沢市生まれの画家・椿貞雄(1896~1957年)は早世した兄の影響で水彩画を始め、1914(大正3)年、18歳で画家を志し上京。岸田の個展を見て感銘を受け入門すると、19歳で草土社の創立同人となる。岸田が鵠沼に転居すると自身も移り住んで行動を共にするなど、岸田の身近にいて影響を強く受けた。
同展では、笠間日動美術館と米沢市上杉博物館のコレクションを中心に、美術館や個人が所蔵する代表的な作品を加えた約170点を展示。2人の関わりや、岸田没後の椿の独自の展開にも光を当て、2人の芸術を紹介する。
会場内は、「1章 出会い-ともに」「2章 劉生と椿の日本画」「3章 劉生死す-椿の展開」で構成。主な展示作品は、岸田劉生=「古屋君の肖像(草持てる男の肖像)」(1916年、東京国立近代美術館)、「童女図(麗子立像)」(1923年、神奈川県立近代美術館)、「寒山風麗子像」(1922~23年、笠間日動美術館)、「劉生自像」(1929年、笠間日動美術館)など。椿貞雄=「赤土の山」(1915年、米沢市上杉博物館)、「菊子座像」(1922年、平塚市美術館)、「朝子像」(1927年、平塚市美術館)、「髪すき図」(1931年、東京国立近代美術館)、「家族」(1933年、個人蔵)など。
同展担当者は「2人の画業を併せて紹介することは、それぞれの個性を立体的に浮かび上がらせると同時に、日本近代美術の青春時代の息吹を感じさせることにもなる。2人とも当館では初めての展覧会となるので、この機会にご覧いただければ」と呼び掛ける。
観覧料は、一般=1,000円、学生=800円、小・中学生・高校生=500円。月曜休館(2月12日は開館、翌13日休館)。3月25日まで。