仙台市の「カフェ・モーツァルト・アトリエ」(仙台市青葉区米ヶ袋1)で9月15日、トークイベント「クリエイティブカフェ仙台」が開催された。
同イベントは仙台市が主催する「仙台の秋・芸術祭」の一環で、県内外のクリエーティブシーンで活躍するゲストをカフェに迎え、仙台における芸術文化について語り合うもの。その第1回目となった今回は、「カフェで語る『クリエイティブカフェ』」と題し、同カフェオーナーの善積建郎さん、「ART仙台場所」などのイベントを手がける団体「ハロー定禅寺村」の残間豊さん、企業メセナ協議会の荻原康子さん、東京都墨田区を拠点に活動する「現代美術製作所」の曽我高明さんが出演。街と芸術文化、地元企業との関わりなどについて事例を紹介しながらトークを展開した。
残間さんは「光のページェント」や「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」などのイベントを実現してきた例を挙げ、「つまらない都市の代表格のように言われていた仙台を、楽しく、美しいものが見られる場所にしたいという思いでやってきた」と説明。善積さんは同カフェで作品発表を行って活躍の場を広げていったアーティストの例などを紹介し、クリエーティブな人材を輩出する「場」の必要性を訴えた。コーディネーターを務めた吉川由美さんは「個々のクリエーターだけでなく、こうした方々が仙台のクリエーティブシーンを陰で支えてきた」と、キーパーソンの重要性を指摘。
トークの後半では街とアートの共存の難しさや、一過性で終わるイベントに対する住民の不信感など、アートイベントが直面している問題についての話題も。荻原さんは全国の成功例の共通点として、「まずは、地域の潜在的なものを生かす方向で進めること。そして、妥協せず、急がず、わかりやすいところから地道に活動を続け、地元住民の共感を得ながら一緒に進めていくことが肝要」と話した。
イベントを終えて市文化スポーツ部長の志賀野桂一さんは「人材的にも場所的にも、仙台には十分な潜在力がある。そこにオーガナイザーや街のキーパーソンを加え、どのように『横糸』を通していくかがこれからの課題」と締めくくった。