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宮城県の新銘柄米、名称は「だて正夢」 復興へ思い込め、いざ食卓の「天下取り」

村井知事とみやぎ絆大使の女優・朝海ひかるさん(右から2人目)らによってお披露目された新銘柄米の名称「だて正夢」

村井知事とみやぎ絆大使の女優・朝海ひかるさん(右から2人目)らによってお披露目された新銘柄米の名称「だて正夢」

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 宮城県が1月23日、県産米の新品種「東北210号」の名称を「だて正夢」にすると発表した。

「だて正夢」を使った試食会のメニュー

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 「だて正夢」は宮城県古川農業試験場(大崎市)で開発された新しい主力品種で、2016年3月に県が水稲奨励品種に指定した。県が育成した「げんきまる」と北海道で育成された「おぼろづき」の血を引き、アミロース含量値は「ひとめぼれ」(16%前後)と低アミロース品種「たきたて」(5%前後)の中間に当たる12%程度。もっちりとした粘り強い食感で、冷めても残る甘みや粘りが特徴。栽培においては品質が安定し、冷害や病気に強いという。

 同日、ホテルメトロポリタン仙台(仙台市青葉区中央1)で開かれた名称発表会で、村井嘉浩県知事は日本穀物検定協会によるコメの食味ランキングで昨年、最高評価の「特A」が過去最多の46銘柄に上ったことを挙げ、市場の競争激化を説明。さらに、県の主力品種「ひとめぼれ」や「ササニシキ」を購入する層が都内で少なくなっているという調査結果や、宮城が「コメどころ」だという認識が全国的に浸透していない現状を話した。

 そうした背景から県では昨年7月、「宮城米ブランド化戦略会議」を設置。若い世代が好む「もっちりとした粘り気のある」新品種を投入することで、さっぱりとしたひとめぼれ、ササニシキと、玄米食向け品種「金のいぶき」と合わせて、「さまざまな食卓シーンに合わせて銘柄選びを楽しむことができるよう」県産米のラインアップを拡充する方針を決めた。

 県ではさらに、「いくらおいしいものを作っても、消費者の皆さまに届かなければ意味がない」と、クリエーターを交えてブランディングを強化。資生堂「TSUBAKI」や東洋水産「マルちゃん正麺」などのネーミングを行った谷山雅計さんが今回、「だて正夢」の名称を考案した。「宮城米の一番新しい飛び切りおいしいコメなんだということを強調したい」と、宮城をすぐに連想できる伊達政宗公の名前に「復興の夢を実現する」という思いを加えた。

 谷山さんは「言ってみれば(現在は)ブランド米の戦国時代。その中にコシヒカリという(豊臣)秀吉のような存在があるが、宮城の土地から虎視眈々(たんたん)と、うまさのナンバーワンを目指す、食卓の天下を取るくらいの気持ちのコメだということを皆さんに認知していただきたい」と力を込める。

 ロゴデザインには、NHK大河ドラマ「真田丸」やJR東日本北陸新幹線開業のポスターなどを手掛け、すでに「金のいぶき」でも実績のあるアートディレクターの水口克夫さんを起用。水口さんは「知事からはモチモチ感を表現してくれないかと言われたが、ちょっと難しい」と苦笑いしながらも、「復興への夢、思いも込められれば」と意気込む。

 その後の試食会で、来場者からは「もっちりした中にも一粒一粒が感じられる」「一口食べただけで、今まであったコメとは全く違うモチモチ感がある」「かんでいくとどんどん甘みが広がっていっておいしい」などの声が上がっていた。

 県では2018年度からの本格販売を目指す。

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