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仙台で美術教育講座「仙台藝術舎creek」 地元から新たな表現生む流れを

ターンアラウンドで開かれている講座の様子。青野さんが作例を見せながら表現活動を通して考えていることを伝える

ターンアラウンドで開かれている講座の様子。青野さんが作例を見せながら表現活動を通して考えていることを伝える

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 仙台で次世代を担うアーティストやアートに携わる人を育てることを目的とした講座「仙台藝術(げいじゅつ)舎 creek」が9月、開講した。

代表の関本さんと講師の青野さん

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 仙台市青葉区でギャラリー「ターンアラウンド」を運営する関本欣哉さんが立ち上げた。美大や芸大のない仙台でギャラリーを運営する中で、学生ら若い世代から「アートについて深く学べる場が欲しい」という声を受けていたという関本さん。もともとギャラリーのほかに学校とアトリエを開く夢を持っていたことから、「やる気のある若い人が身近に増えてきて、学校を開くタイミングだと感じた」という。

 東日本大震災から5年がたち、仙台で震災を体験した人が美術と向き合える状況ができてきたことから開講の意志を固めた。「音楽や文章の表現者がスピード感を持って表現しているのを見て美術家はもどかしい思いもあったが、震災後のデモ活動などを日常的に見て社会に対して表現することに抵抗がない若い人たちが増えてきた。そういう人が面白い作品を作るだろうと思い、少しでも手助けしたいと考えた」

 その思いや状況の見方に共感する専門家の協力を得て、開講にこぎ着けた。今期の中心となる講師は美術家の青野文昭さん、建築史・建築批評家の五十嵐太郎さん、せんだいメディアテーク学芸員の清水健人さん。「3人とも現場で国際的に活動しているので、世界におけるアートの状況や、それと対比した日本、仙台の状況を分かっている。アジアの中でも遅れてきている中で、自分がどう戦えるかを受講生に見いだしてもらいたい」と関本さん。

 講師の青野さんは「宮城には草の根的な美術活動の蓄積が少なく、作る人や場所、話し合う場やコレクターも少ない。これだけの街なのに地元から突き上げていくようなオリジナルな文化が希薄」と指摘し、「表現者の間で話すと『人を育てないといけない』という共通の問題意識に至る」とも。「作家には一人で黙々と作る時間も必要だが、議論を戦わせたり話し合ったりすることで大きな問題意識が育っていく。表現活動の中で考えてきたものを皆さんの前で開きながら議論に載せつつ、刺激を与え、かつ刺激をもらおうと考えている」と期待する。

 関本さんは講座名の「creek」(川、支流の意)に、「仙台・宮城から生まれる新たな表現・表現者が支流を作り、それらがやがて本流と成り得る」という思いを込めた。「継続することで仙台のアートシーンに社会的な意見を表せる表現者が増えていけば。それが生まれてくる雰囲気を仙台につくっていきたい」と意気込む。

 講座は1回90分、月2~3回で全17回程度。第1期は20~40代の12人が受講。公開講座も予定している。

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