仙台市青葉区のサンモール一番町商店街で6月27日、「一箱古本市」が開催され、「一日書店主」がアーケードの下に軒を並べた。
同イベントは、仙台在住の書店員や出版関係者らで構成される「Book! Book! Sendai 杜の都を本の都にする会」が企画。「6月の仙台は本の月」と題し、「本を語る、学ぶ、作る、遊ぶ、演じる、本と出会う」トークイベントやワークショップなどを市内各所で展開。その締めとなる関連イベントとして、東京の不忍ブックストリートに端を発する「一箱古本市」を開催した。
参加者各自が段ボール箱やキャリーケース、本棚に蔵書を並べて古本屋を開き、次の読者に本との出会いを提供する同イベント。今回が初開催にもかかわらず、県内のほか山形、福島、東京、大阪、広島から約100人が参加。50店舗が出店し、漫画、小説、雑誌、美術書、暮らしの本、専門書など、それぞれの個性が表れた本が顔をそろえた。
会場には古本市目当てで訪れた市民のほか、買い物途中のカップルや親子連れなども足を止め、本を手に取ったり店主との会話を楽しんだりした。中には、たまたま通りがかり、「孫へのプレゼント」として絵本を購入した60代の女性の姿も。
「よねやーん」として出店した米地恵子さんは、31冊の美術書を出品。米地さんが約40年間、美術展などに足を運んで集め、「引っ越しの度にずっと持ち歩き、日に当てないようにと保管方法にも気を使って大事にしてきた」という本で、「本棚が2段空になってしまったので少し寂しいが、新しい人の手に渡り、大切にしてもらえるのであれば幸せ」と笑顔を見せた。
「巴里の本屋」の瀬川潤さんは、「ささやかだけれど役に立つ本」をコンセプトに、エッセーなど50冊を出品。10年ほど前から本を集め、大好きな本は「友達にもプレゼントできるように」と2冊以上購入し、「気付いたら4冊持っているものもある」(同)という。出品した本に手製の帯を付ける工夫を見せ、「将来は面白い本屋を開きたい」と夢を抱く。
イベントを終え、同会代表の詩人・武田こうじさんは「約1年がかりで準備してきたイベントなので、充実したものになってうれしい」と話し、「会が発起してちょうど1年。今後もイベントに限らず、年間を通して本と出会える場を提供していければ」と意気込んだ。